私はとある中堅メーカーにて20代で海外駐在を経験しました。
プールサイドで英字新聞を読み、仕事終わりにローカルスタッフとバーへ行き、週末は家族とBBQ…
残念ながら長時間労働と上司によるパワハラで理想とはかけ離れた海外赴任でした!
華やかなイメージが先行しがちな海外駐在のリアルな実態を知りたいです
人によっては過労で倒れたり心が病んでしまうケースもあります
そこで海外赴任のつらい日々を思い出しながらキツかった理由と帰りたいときの対処法をまとめました。
私と同時期に海外赴任をした同期は実際に精神を病んで帰国を早めてもらっていました…
本当に辞めたいときに取るべきおすすめの手段とは?
海外赴任がつらい原因まとめ
私が経験した海外赴任はとにかくシンドイ日々の連続でした。
- 毎日深夜にまで及ぶ残業
- 土日もどちらかは出社して残務処理
- 有給はほとんど消化できない
労働時間だけで言えば完全に過労死ラインを超えていたと思います。
海外でそんなつらい状況に置かれてよく耐えることができましたね
ボクはたまたまストレス耐性が強かっただけなのでおすすめはしません
手厚い海外赴任手当をもらえたのは嬉しかったですが、それにしても想像以上にハードな仕事でした…
その経験からわかったのは海外赴任がつらい原因は仕事と私生活の両方にあるということです。
特にストレスがかかる6つの要因を具体的なエピソードを交えて紹介します。
長時間労働の常態化
先ずはなんと言っても過労死ラインを超えるレベルの長時間労働です。
多くの駐在員は海外赴任手当を得られる代わりにみなし残業の扱いになり長時間労働が常態化します。
時間当たりで残業代を計算しないので企業は働かせ放題です
私の場合は夜10時に帰れると「今日は早く終わったな」と感じるくらい感覚がマヒしていました。
さらには休日出勤手当てなんてつかないのに週末にオフィスに行っては残務処理をする有様です…
大きな裁量とタスク
海外現地法人は本社に比べて小さな組織で人数も少ないです。
そのため駐在員一人ひとりに課されるタスクは膨大で重い責任がのしかかります。
- 現地スタッフのマネジメント
- 現地法人の財務状況を本社へ報告
- 新規市場・顧客の開拓
膨大なルーティンに加えてこれらの付加価値を期待されるので休む暇がありません。
慣れない異国での生活
夜中にちょっとコンビニまで出かけて美味しいスイーツで小腹を満たす…
日本ではこんな当たり前な日常が海外では送ることができません。
特に日本人が慣れない異国生活で最も苦しむのが食事と治安です。
ボクも色んな国を訪れましたが日本の治安と食のレベルは世界一です
海外赴任中は友人がSNSにアップした美味しそうなご飯の写真すらストレスでした。
現地スタッフとの温度差
終わりが見えない山積みの仕事…日本の本社から要求されるタスクの数々…
そんな多忙な日本人を尻目に現地スタッフたちは毎日定時で帰宅してしまいます。
この現地スタッフと日本人駐在員との間にある温度差が日々のストレスを更に助長します。
もちろん、働き方として正しいのは現地スタッフのほうです
頭ではわかっていても、家族と過ごす時間を大切にしている現地スタッフを見ると「どうして自分だけ…」と、やるせない気持ちになりました。
家族と会えなくて寂しい(単身赴任のケース)
アメリカやヨーロッパへの駐在なら喜んで家族を帯同させられます。
一方で東南アジアや中南米などの新興国への海外赴任だとそう簡単にはいきません…
単身での海外赴任は家族や友人と会えない孤独との戦いです。
仕事もつらいし家に帰っても孤独だし、早く日本に帰りたい…
現地で友達を作るのが苦手な人は本当に苦労します。
狭い日本人コミュニティ
どの国にも必ず日本人のコミュニティが存在します。
実はこの海外の狭い日本人コミュニティというのは日本以上に同調圧力が強いです。
直属の上司もその日本人コミュニティに入っていますからね
仮に相性の悪い上司に当たってしまった場合、本来安らぎの場であるはずの日本人コミュニティが窮屈で居づらい場所になってしまいます。
海外赴任者に課される長時間労働とパワハラの実態
ある日、海外赴任経験者にとって非常に心の痛むニュースが目に飛び込んできました。
大企業のスキャンダルとしても大きく報じられましたよね
本当に目を覆いたくなるような痛ましいニュースです
駐在員時代に過労死ラインを超えて残業していた私にとってこのニュースは他人事ではありませんでした。
なぜ海外赴任に対する長時間労働やパワハラの問題は放置されてしまうのか?
私自身が駐在を経験して感じた問題点は大きく以下の3つです。
本社の人事との距離
まず、一番の問題点は本社の人事が海外現地法人における労働環境を把握できないことでしょう。
- 裁量労働のため残業時間が管理されていない
- 独善的な上司の暴走を監視・とめることができない
- パワハラを受けても通報する手段がない
憧れの駐在員という立場を守るために泣き寝入りすることを選ぶ人も…
特に東南アジアや中東など新興国や立ち上げたばかりの小さな事務所への海外赴任は注意が必要です。
日本との時差
海外赴任者の長時間労働を考える上で時差の問題も無視できません。
- 日本の勤務時間を基準とした会議時間の設定
- 現地の祝祭日を無視した短すぎる納期
- 出張後の時差ぼけを引きずったまま出社を強要
本社は海外現地法人よりも立場が上だと考える人が多いみたいです
中には「駐在員は手当をたくさんもらっているんだから日本の勤務時間に合わせて働くのは当然だ」と考えている人もいて非常に恐怖を覚えます。
祝日が少ない(有給休暇消化率が少ない)
意外と知られていませんが実は日本は諸外国と比べて祝祭日の数が群を抜いて多い国です。
海外の人って休暇を取る人が多いイメージですけど違うんですか?
海外の人は与えられた有給休暇の権利を行使するから休めるんです
そこで問題になるのが「有給休暇を最低限しかとらない日本人」が「祝日の少ない海外へ赴任」したケースです。
日本が休みのときは働き、現地が祝日でも日本が働いていたら働き、有給休暇は毎年繰り越すのが当たり前…
こんな働き方をしていたら長く持たないに決まっています。
海外赴任を辞めたい・帰りたいときの対処法
- 海外赴任手当をたくさんもらっているんだから多少仕事がつらくても仕方ない…
- 周りの駐在員もつらい思いをしているのに自分だけ弱音を吐けない…
- 何年も希望を出し続けてようやく得られたチャンスを手放したくない…
と、真面目な人ほど思いつめてしまいがちですがそれは間違っています。
海外赴任を辞めたいときは辞める、日本に帰りたいときは帰ることも立派な決断として尊重されるべきです。
身体や心を壊してしまった後では取り返しがつきません
駐在員に選ばれるくらいの人材なら道は他にもたくさんあるはずです
会社も上司もあなたの人生の責任を負ってはくれません、自分の人生に責任を負えるのは自分だけです。
海外赴任がつらいときに取るべき選択肢は「本社の頼れる人に相談する」か「今の会社を辞めて転職する」かの2種類です。
本社の頼れる人に相談する
本社に以下のような条件にあたる人はいませんか?
- ピンチのときにいつも救ってくれた頼れる先輩
- キャリアや人生について相談に乗ってくれた上司
- プライベートでも仲が良く何でも打ち明けられる同期
海外赴任がつらいときは本社にいる頼れる人現在の状況を1日も早く共有しましょう。
個人的に頼れる人がいない場合は人事を頼っても問題ありません
海外赴任中に上司のパワハラで心が病んでしまった私の同期は、元いた部署の先輩を頼って帰任の段取りをしてもらっていました。
仮に帰任になったとしても、また海外赴任をするチャンスなんていくらでもあります。
逆に、我慢しすぎて心を病んでしまってからの方が次の海外赴任のチャンスが遠のく結果になるでしょう。
今の会社を辞めて転職する
海外赴任者がつらい扱いを受ける企業にはいくつか共通する特徴があります。
- 海外売上比率が低いためグローバル人材が正当に評価されない
- 東南アジアなどの新興国ではブイブイいわせるが欧米諸国ではおとなしい
- そもそも経営陣が英語すら話せず昭和マインドから抜け出せない
このようなグローバル人材が高く評価されない会社なら海外赴任を辞めて転職した方が長期的にはいいと思います。
駐在経歴は転職市場で高く評価されるので意外な大手企業からオファーをもらえるかもしれませんよ
私は新卒で入社した会社で1年半という短い期間で海外赴任を終えましたが、たった1年半の駐在経験でも評価されて大企業への転職に成功しました。
転職後は基本給もボーナスも大幅アップした上に残業時間が減って家族と過ごす時間が増えました。
つらい海外赴任を乗り越えた先にあったもの
私は海外赴任から帰ってすぐに転職活動をスタートし、新卒では手の届かなかったような海外売上比率80%を超える大企業から内定をもらうことが出来ました。
海外売上比率が高い企業にはグローバル人材が働きやすい企業文化の特徴があります。
- 外国人の従業員が多いので国際基準に即した人事制度が整っている
- 外国人の投資家が多いのでコンプライアンス意識とESG意識が高い
- 外国人の顧客が多いので世界水準の高い技術力を有している
日本のグローバル化は遅れている企業と進んでいる企業で二極化してます
自分のスキルや経歴を高く評価してくれる企業に身を置きたいですね
つらい海外赴任を乗り越えた先にはグローバル人材としての経歴が大きな財産として残ります。
複数の会社から割と簡単に内定をもらえてはじめて「駐在員としての地位を維持すること」にそこまで意味はなかったんだと気づきました。
海外駐在経験は転職市場において本当に有利な経歴になるので、おすすめはヘッドハンターとのコネクションを作れるスカウト型の転職サイトに登録することです。
もしかしたら、意外な大企業からスカウトの声がかかるかもしれません。
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