日本といといえば「ものづくり」の国!
自動車や電子機器をはじめ世界的に有名な企業も数多くあるメーカーは人気な就職先の1つです。
営業をやるなら「実体のある商品」を扱うメーカーに憧れます
「飛び込み」や「テレアポ」がないので精神的なプレッシャーも比較的少ないです
一方で、普通に生活しているとメーカー営業の仕事内容に関する情報ってなかなか入ってきません。
私はリーマンショック後の氷河期のなか中堅メーカーの営業職で内定をもらい、10年後には大企業メーカーへの転職も成功させました。
そんな経験からメーカー営業が絶対に抑えておくべき志望動機のポイントを解説します。
重要なのはメーカー営業の仕事のやりがいに共感を示すことです。
まずはメーカー営業の仕事内容をおさらい
メーカー営業の役割は「工場で作った製品を顧客に販売して利益を得ること」です。
会社にもよりますが、おおむね以下の5ステップで仕事が流れます。
顧客が「いつまでに」「何を」「どのくらい」求めているのか?
顧客が抱える「悩み」を正確に聞き取って解決策の提案に結び付けます。
自社製品の特徴や強みを理解した上で「どのように顧客の課題を解決できるか」を提案するのが見積りです。
価格や納期はもちろん、契約条件も含めて双方が合意に至るまで粘り強く交渉します。
めでたく受注が決まったらそこで終わり…ではありません。
不利にならない条件で正式に締結するまで見届けるのも営業の役割です。
契約後であっても工場への発注、出荷スケジュール、輸送・納入までトラブルなく完了するのを見届けます。
仮に製品出荷後に輸送トラックが事故でも起こしたら、そのトラブル対応を担うのも営業です
製品の納入が終わり、請求書を発行し、代金を回収してようやく1つの案件がクローズします。
ときには支払いが遅れている顧客に催促の連絡をすることもあるかもしれません。
こうして細分化してみると営業の役割ってたくさんあるんですね
トラブル対応も含めると営業が見るべき範囲は膨大なんだ
工場と顧客との間で発生する全てのコミュニケーションはメーカー営業の仕事内容です。
ただし大企業になると、一部の業務を営業支援専用の部署が担ってくれる場合もあります。
メーカー営業に求められるスキル
これらを踏まえ、メーカー営業にはどのようなスキルが求められるのか?
業務を円滑に進める上で最も重要な3つのポイントを紹介します。
1.聞き上手であること
メーカー営業には顧客と工場をつなぐという重要な役割があります。
そこでカギになってくるのが「話すスキル」より「聞くスキル」です。
- 顧客が抱える課題の本質は何なのか?
- 要求事項のなかでも最も優先度が高い条件は何なのか?
- 工場が抱えるボトルネックはどこにあるのか?
営業がこの情報収集を間違えるとその後の全ての工程が噛み合わなくなってしまいます。
2.全体を俯瞰でみれる視野の広さ
設計、製造、輸送、アフターサービス…
一つの製品が顧客の手に届くまでには様々なプロセスを経なければなりません。
メーカー営業に不可欠なのは全体を把握してプロジェクトを成功に導く「調整力」です。
「工場の主張」と「顧客の要求」の板ばさみになることが度々あります
起きて欲しくないときに限って予期せぬトラブルも発生するものです
どんな状況でも問題を俯瞰で見て落としどころを見つけながら前に進み続けることがメーカー営業の醍醐味といえます。
3.顧客にNOといえること
- 受注はしたけど金額が安すぎる
- 受注はしたけど納期が短かすぎる
- 受注はしたけど仕様が複雑すぎる
このようにメーカー営業が安請け合いをすると「売上」が増えても「利益」が残りません。
メーカー営業はNOを言う明確な判断基準と裏打ちされた知識を持つ必要があります。
顧客の言いなりにばかりなっていると社内からの信頼を失うことになるので注意しましょう。
商社との違いとは?
メーカー営業とよく引き合いに出されるのは商社の営業マンとの違いです。
どちらも「顧客の課題を解決する」というゴールは共通していますよね
実際にメーカーと商社が一緒に仕事をするケースも少なくありません
一言でいうとメーカー営業は工場で作った自社製品を売るのに対して商社はその取りまとめをします。
さらに細分化すると以下のような違いがあります。
メーカー営業の志望動機に書くべき3つのポイント
私はリーマンショック後の氷河期といわれた時代に狭き門を突破してメーカー営業の職に就くことができました。
その後は全く業界の異なる大企業メーカーへの転職も成功させ、採用選考での自己PRには実績に基づく自信があります。
人気のメーカーは応募数も多いので他の候補者との差別化が重要です
特に志望動機は念入りに作りこまないと採用担当者の印象に残らないよ
ここでは私の経験を踏まえたメーカー営業の志望動機で重視すべき3つのポイントを紹介します。
企業理念への共感
メーカーにとって製品とは企業理念を達成するための手段です。
先ずはその企業理念を理解し、自己PRや具体的なエピソードに落とし込んで共感を示すようにしましょう。
企業理念なんて抽象的すぎるのでは?
と、思うかもしれませんが技術や法務などの専門職と違って営業はスキル・実績だけでアピールするのが難しい職種なので些細な点でもいいので企業との接点をなるべく多く見出すようにしてください。
御社が企業理念に掲げる「多様性の尊重」は私も日ごろから意識しており、「工場」と「顧客」の主張が対立した際は両者の言い分を冷静に聞き取り、課題を細分化することで最適な妥協点を見出すことを営業として心がけていました。
特定のセグメントに対する熱意
メーカーといっても事業部やセグメント別に扱う製品やターゲット顧客、掲げている目標などが異なります。
- セグメント別の売上比率
- ここ数年の売上推移と成長率
- 主要顧客と現在の市場シェア
決算書などからこれらを分析し、自分が最も熱意を向けているセグメントを絞って志望動機を作りこむことが重要です。
御社の数ある事業の中でもエネルギー事業に興味があります。理由はインフラを支える仕事に携わりたいことと、これま培ってきた産業機械営業の経験が一番活かせると思うからです。また、このセグメントはここ数年で海外売上比率を急激に伸ばしているので、自身もその更なる成長に貢献したいと考えています。
固有の製品・技術に対するリスペクト
メーカーですから、製品や技術に対する興味・関心を示さない限りこちらの本気度は伝えられません。
- その製品のどんなところに魅力を感じているのか?
- 同業他社の技術と比べてどんな違いを見出したのか?
- 実際にその製品を見たり使用したりした感想は?
これらを志望動機を補足するサブエピソードとして添えるとより本気度が伝わります。
御社の製品は他社と比べても○○の技術で差別化されており、今後のめまぐるしい市場変化の中で間違いなくキープレーヤーの1社として存在感を示すと考えています。また、実は御社の製品を子供の頃に使っていたことがあり、兼ねてから愛着を感じています。
メーカー営業が一番やりがいを感じる瞬間とは?
選考が進むと、人事の担当者だけでなく現場で働く人も面接官に加わります。
特に、転職活動ではほぼ確実に配属先の上司になる部長・課長クラスの管理職と面接することになります。
メーカー営業の選考なら営業部長との面接が予定されているわけですね
面接では現役の営業部長に刺さる志望動機を準備しないとなぁ
現役のメーカー営業は普段どんなことにやりがいを感じているのか?
営業部長の心に響く志望動機を面接で語るためにメーカー営業歴10年の経験に基づき解説します。
自分が携わった製品が社会・人の役に立つ
メーカー営業は自分が売った製品を目で見て、実際に手で触れることが出来ます。
- 販売した製品についてユーザーから感謝の言葉をもらった
- 自分が関わったプロジェクトがテレビで取り上げられた
- 自社の製品が海外でも売られているのを旅行先で見つけた
仕事中だけではなく日常生活の中にもやりがいを感じる機会があるのがメーカー営業の特徴です。
新製品の開発に立ち会える
「まだこの世にない価値を生み出す」ことの醍醐味は商社ではなかなか味わえません。
- 顧客がこんな機能を欲しがっている
- 旧製品のこの部分は改良すべきだ
- この分野でライバル企業と差別化を図りたい
このようにメーカー営業には市場から吸い上げた声を開発に届けるという使命があります。
自分が開発に携わった新製品が発売される瞬間はメーカー営業をやっていて最も高揚する瞬間です。
成果が数字で表れる
これはメーカーに限った話ではありませんが、成果が一番分かりやすいのが営業という職種です。
- 今月は売上目標を達成できた
- 今期の売上に自分は○%も貢献した
- チームの中で営業成績トップに輝いた
調子が悪いときはプレッシャーにもなりますが、好調なときは自信にもつながります。
競合他社に勝つ
不思議なもので、メーカー営業として競争の一線に立っていると競合他社の存在が憎らしくさえ思えてきます。
- A社が値下げしてきたからこちらも応戦しよう
- 競合がこんな機能を開発したのにウチは何をやっているんだ
- この分野の勝負だけは絶対に負けたくない
こうして苦労の末に受注を獲得したときは心の底から歓喜するものです。(その夜のお酒は美味しい!)
工場の人に認められる
メーカー営業は工場の協力なしには成立しない仕事です。
成果を出したときより、競合に勝ったときより、もっと嬉しいのはメーカー営業として仕事を工場の人に認められた瞬間かもしれません。
- 顧客から急に短納期の依頼がきたので対応してください
- ライバルが値下げしてきているので原価低減に協力して欲しい
- 市場のニーズを考えたら新製品にはこの機能が必須です
このような無理難題に対して「営業のお前がいう頼みなら何とかしよう」と言ってもらえるかどうかで仕事への思い入れは大きく変わります。
メーカー営業の仕事はチームプレーだからこそ喜びを分かち合う存在なしに「やりがい」を語ることは出来ません。
メーカーで営業部長にまで出世する人ならそういった胸の熱くなるシーンを何度も経験しているはずです
メーカー営業の志望動機は「もどかしさ」が源泉になる
手触り感のある「モノ」を扱えるメーカー営業の仕事にはたくさんの魅力があります。
それでも、残念ながら仕事にやりがいを感じられなくなる瞬間は私にもありました。
メーカー営業はチームプレーだからこそ自力で変えられる範囲に限界があります
そのもどかしい思いこそが志望動機を作る原動力になるんじゃないかな
- せっかく成果を出したのに正当に評価してもらえなかった
- 新しい技術の誕生により市場そのものが縮小してしまった
- 競合他社に開発力で差をつけられてしまった
このような歯がゆい思いをしたとき、私は転職を決意しました。
メーカー営業の経験に裏打ちされた「もどかしさ」があれば嘘偽りの無い志望動機がダイレクトに伝わります。
転職活動では商社からも内定をもらいましたが、結局私は「新しい価値」を生むことが出来るメーカー営業を選びました。
メーカー営業への就職・転職を考えている人はぜひ参考にしてみてください。
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