「英語でプレゼンできてかっこいいな」
「出張でいろんな国に行けて楽しそう」
「憧れの海外営業に私もなりたい」
そんなかっこいいイメージを持っている皆さんに残念なお知らせです…
海外営業の仕事はもっと泥臭くて大変です!
海外営業ほど「イメージとのギャップ」が大きい職種はないかもしれません
ボクの周りも短期間で離職してしまった人が少なくないです
もちろん日常的に英語(中国語)は使いますし、海外に行くチャンスもたくさんあります。
一方で一部の日本企業ではグローバル人材がマイノリティの立場に置かれて理不尽な扱いを受けることも…
そこで海外営業の「本当にやりがいを感じる瞬間」と「辞めたくなるくらい大変な瞬間」を具体的なエピソードを交えて解説します。
私は新卒から中堅メーカーの海外営業部に配属されたのですが、とにかく苦労の連続でした…
海外営業の魅力
なぜかかっこいいイメージだけが先行している海外営業ですが、何をやっているのかって外からはわからないですよね?
実は海外営業の仕事内容は会社によってバラバラです。
同じ会社でも出張頻度や駐在チャンスは担当業務によって異なります
会社によってはほとんど英語を使わないケースもあるんです
私は転職を通じて様々な企業で「海外営業と名のつく部署が何をやっているのか?」を実際に見てきました。
気になる海外出張の頻度と駐在のチャンスについても解説します。
5つのパターンの仕事内容
海外営業の仕事内容は以下の5つのパターンに分かれます。
1.海外の顧客を相手に営業する
海外の顧客と直接契約を結ぶ際の窓口業務全般を担当します。
高い英語力のみならず、営業としての製品知識、交渉力、プレゼンスキルを求められる、いわゆる「かっこいいイメージ」通りの海外営業です。
2.海外営業の販売支援をする
海外営業には輸出・輸入にかかる貿易実務や信用状取引(Letter of Credit)に代表される支払い手続きなどあらゆる事務作業が発生します。
海外営業の中にはそういった販売支援業務を選任で担当する部署もあるのです。
3.商社を相手に営業する
販売先が商社などの国内企業であっても最終仕向け地が海外の場合は海外営業が担当することがあります。
この場合、業務内容はほとんど国内営業と変わらないので日本の商慣習や礼儀作法(名刺交換など)にも通じていなければなりません。
4.海外現地法人の販売支援をする
グローバル化が進んでいる企業では、海外顧客への営業活動は現地法人の営業マンが担当しています。
海外現地法人に対する市場データの分析支援やマーケティング戦略の浸透といった企画職的な役割を本社で担うのも海外営業です。
5.海外の代理店を相手に営業する
アジアや中南米などのマイナーな国では現地法人の代わりに現地の代理店と契約して営業活動を委託することがあります。
それら海外代理店への受発注業務、営業活動支援、契約管理といった代理店営業活動も海外営業に期待される重要な役割です。
さらに詳しい海外営業の仕事内容は以下の関連記事にまとめています。
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海外出張の頻度は?
最も海外出張の頻度が多いのは「海外の顧客を相手に営業する」ケースです。
少なくとも四半期に1回、多い人は毎月どこかしらに飛び回ることもあります。
1回の出張で何カ国も訪問したり、夜行便を多用したりするのは大変です
様々なスキルを磨けますが、体力的にはかなりハードなので若いうちに経験しておくことをおすすめします。
ちなみに私は新卒でこのタイプの海外営業を経験し、10年有効のパスポートが全ページ埋まるほど出張しました。
「海外現地法人の販売支援をする」や「海外の代理店を相手に営業する」パターンでも四半期に1回くらいの頻度で出張できます。
しかし、最近では社内ミーティングはビデオ会議で済ませることがほとんどです。
海外駐在のチャンスはある?
メーカーや商社なら新卒から海外営業に配属されれば早くて20代で1回目の駐在チャンスが訪れるでしょう。
駐在に選ばれる一番の近道は実績を挙げて上司に評価されることです。
海外駐在には将来の幹部候補を選出する「人材育成」の側面もありますからね
私も運よく20代で海外駐在の切符も手に入れることができました。
海外駐在はハードでしたが、同期と比べて手取り収入も多く、帰国後は転職含め選択肢が広がるのでおすすめです!
海外営業のやりがいを感じる3つの理由
「前もって準備した計画は全て崩されるくらいの覚悟を持っておいたほうがいい」
これは私が海外営業に配属されて先輩から貰った印象深いアドバイスです。
実際に海外営業は入念に準備した計画が言葉・文化・物理的な距離など様々な壁に阻まれる大変な日々でした…
これは大げさでもなんでもなく、本当に何一つ計画通りに進みません
しかも大きな予算が動くプロジェクトはプレッシャーも半端じゃない
正直いって、途中で投げ出したいと思うことも何度もありました。
それでも続けられたのは海外営業という仕事に大きなやりがいを感じていたからにほかなりません。
特に「海外営業をやっていて本当によかった」と感じる3つのポイントを紹介します。
ダイナミックな仕事に携われる高揚感
- 大きな資金力・技術力を持つ欧米諸国
- 人口も市場規模も桁違いに大きい中国やインド
- 出張する度に景色が変わる経済成長中の新興国
様々な国の第一線でダイナミックな仕事に携われるのが海外営業の1番の醍醐味です。
規模が大きいと達成したときのやりがいは何にも変えがたいです
時には政府主導の国家プロジェクトに関わることもあります
とある国のプロジェクトで政府関係者にプレゼンを行った際は緊張のあまり行きの飛行機で一睡もできませんでした。
それでもプレゼンが成功してロジェクトが大きく前進したときの喜びは忘れられません。
言葉・文化の壁を乗り越えた達成感
海外営業の仕事はイライラすることの連続です。
- 入念に推敲した英文でも細かいニュアンスまでは伝わらない
- 「1週間で終わる」と約束したはずの仕事が期限になっても終わらない
- 出荷したはずの貨物が輸送中に行方不明になってしまった
日本人同士で仕事をしていたらこんな苦労することないのに
時差もあるから思い通りにコミュニケーションをとることもできません
でも、だからこそ海外の人と同じ目標に向かって困難を乗り越えるやりがいは格別です。
言葉や文化が違っていても、こちらの誠意が伝われば必ず信頼関係を築くことはできます。
そんな旅行では絶対に味わえない「より深い」異文化交流は海外営業ならではの経験です。
市場価値に直結するスキルが身につくお得感
あまり大きな声では言えませんが海外営業の経験は転職でめちゃくちゃ有利になります。
- 世界中の人とコミュニケーションをとれる英語力
- 異なる文化圏の人とも協力関係を築ける適応力
- 履歴書に記載できるグローバル人材としての経歴
実は海外営業をやっていて最もやりがいを感じる瞬間は転職を考えたときかもしれません。
国内市場が縮小するなかグローバル人材を求める企業は後を絶ちません
求人を見たら国内営業より海外営業の方が有利だとすぐにわかります
私のキャリアは中小企業の海外営業としてスタートしましたが、その経験のおかげで新卒では手の届かなかった大企業への転職を果たすことができました。
大企業に転職したことで残業時間は短く、それていて給料は高く、最近ではフルリモートで充実したワークライフバランスを得られています。
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海外営業にとって最も大変な社内営業とは?
海外売上比率が高いと企業文化そのものが変化してグローバル人材が働きやすい環境が整っている場合が多いです。
その一方で海外売上比率が50%以下の日本企業は海外営業にとって働きづらいかもしれません…
海外売上比率が少ないと相対的に国内営業の方が発言力が強くなります
少数派であるグローバル人材は肩身の狭い思いをするかもしれません
特に、海外営業にとって最も大変なのは日本マインドが多数派を占める企業での社内営業です。
私が新卒で入社した会社は海外売上比率が30%にも満たなかったので、とにかく苦労の連続でした。
実際に体験した具体的なエピソードを交えて当時の苦い思い出を紹介します。
海外のことはとりあえず海外営業へ
グローバル人材が少数派の会社には「海外案件はとりあえず海外営業に回しておけ」という空気感があります。
例えば輸出入の貿易実務を扱う部署がなかったり、法務部の中に英文契約書を読める人材がいなかったり…
「他にやる人がいないから」という消去法で社内の様々な雑務が回されると純粋に海外営業の仕事に集中できません。
上司がしっかりしていないと、評価にもつながらない社内雑務に追われるリスクも…
技術資料の英文チェック
私はメーカーに勤めていましたが、英語アレルギーが特にひどいのは地方にある工場の人たちでした。
そういった環境では工場が作るべき技術レポートの英文すら海外営業が事前にチェックしなければなりません。
明らかに自動翻訳ソフトを使ったような不自然な英文を修正しては「これじゃ海外営業じゃなくて赤ペン先生では?」とため息をついたのは一度や二度ではありません…
通訳もお任せ
海外からゲストが来た際の通訳業務の依頼が回ってくることもありました。
もちろん自分の顧客であれば喜んで対応しますが、別の部門の顧客相手にまで通訳を任されても困ります。
こういった業務は部署間の貸し借りとして処理されますが、通訳対応をさせられる担当者には何の見返りもありません…
フレックス制が導入されていない
アジア担当ならまだしも、ヨーロッパやアメリカを担当すると時差の影響を大きく受けます。
フレックス制すら導入されていない古い企業では時差のある地域との打ち合わせる度に残業を強いられて非効率です。
「フレックス制は遅刻の温床だ」という偉い人は一度海外業務に携わってみればいいのに、とつくづく思います。
リモート会議の設備がない
対面で会議することに重きを置く日本企業はなかなかリモート会議のインフラ整備が進みません。
台数が限られているWeb会議用の機材を確保したり、空いている会議室を探したり…
これらの社内調整にかかる労力や時間って本当に無駄だなと思います。
国内営業に見下される
国内売上比率が高い企業にとって海外営業には投資的な側面があります。
守られた市場で高い利益率を得ている国内営業からは「俺たちが得た利益を使い込みやがって」と目の敵にされることも…
そのような会社で海外営業は社内政治でも弱い立場に置かれるのが現実です。
海外出張という名の接待
海外駐在員が最も嫌う仕事の一つに「日本から来た出張者の接待」というものがあります。
なんで同じ会社の人をわざわざ接待しなくちゃいけないんですかね?
中には観光気分で海外出張に来る人もいるのが実体です…
最近では香川県議会が海外視察と称して観光地で記念写真を撮ったり、昼から飲酒したりがニュースになりましたね。
民間企業の中にも「この人の海外出張、本当に意味あるのか?」と疑わしいものが多々あります。
そして、そういった偉い人の無駄な海外出張に付き合わされるのはいつも海外営業です。
ただでさえ忙しい上に社内接待に時間を奪われるときは「勘弁してくれ」と心から思いました。
海外営業は「大変さ」に見合う「やりがい」ある職種です
かっこいいイメージの裏側には英語が通じず恥をかく日々があります。
スマートなプレゼンの裏側には寝る間を惜しんで練習した苦労があります。
華やかな仕事の裏には無駄な社内営業に消耗する時間があります。
それでも続けられるのは海外営業には大変さに見合うやりがいがあると確信しているからです。
言葉や文化などの壁を乗り越えた先にある喜びに意識を向けましょう
苦労の先に海外駐在や転職など幅広い選択肢をもてるのも魅力です
技術系と違って文系(特に営業)の最大の悩みは「会社の外で通じるスキル」が身につかないことではないでしょうか?
海外営業でグローバル人材としてのキャリアを築くことはそんな文系特有の悩みを解決する手段の一つです。
- まだ若いし体力もある
- 恥をかく覚悟は出来ている
- 長期的なキャリアのためなら目先の苦労はいとわない
やりがいある海外営業はそんな強い思いのある人におすすめします。
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